退院2週間目

それなりに元気なうちに母との時間を過ごしたくて、1週間の休みをとった。月曜に行くと、3日前よりずいぶん意識レベルが下がっていた。

何か尋ねると「よくわからない」と答えることがほとんどで、表情が乏しくなっていた。モルヒネのおかげで痛みはないのは良いが、何とも寂しそうで心が痛んだ。

夜の排泄はベッド脇のポータブルトイレに切り替えた。車椅子でトイレまで行き、狭いトイレで排泄するよりも、本人も楽なようだった。夜中の父の負担を減らす目的もあったが、私が介助していると、二階で寝ていた父はその度に起きてきた。かなり眠りが浅いのだろう。

火曜日は通院だった。介護タクシーで家から約30分。血小板と赤血球の輸血、主治医の診察があった。前回問題だったLDHの値は4300から1500までに下がり、服薬の抗がん剤メキトレキセートが効いているとのことだったが、血を止める作用のフィブリノゲンの値が150から95に下がって、出血傾向にあるとのこと、血管が脆くなっているため、脳出血のリスクがあると伝えられた。また認知が下がっていることに関しては、今まで使ってきた抗がん剤、分子標的薬の影響、モルヒネの影響などが考えられるが、なんらかの原因で認知症のような状態であるのだろうとのことだった。ただ本人の希望通り、痛みなく過ごせていることは大きな救いだ。